都立中学の完全中高一貫校化が決まって
さて昨年、教育委員会が提出した報告書により、中高それぞれで生徒を募集する併設型の都立中学における課題(先取り学習など中高一貫ならではの教育が困難など)の解消のため、高校の募集を停止することが決まりました。
それに対して私立中学・高校の団体、一般財団法人東京私立中学高等学校協会が東京都にパブリックコメントを出しましたので教育委員会の反応と共に紹介します。
ちなみに併設型の高校募集停止のスケジュールは、以下のようになりました。
2021年度:武蔵高校、富士高校にて募集停止
2022年度:両国高校、大泉高校にて募集停止
白鴎高校については施設の関係もあり2021年度以降のみ決定
では、以下に要旨をまとめます。
最後にそれぞれの原文の資料にリンクを貼っておきます。
なかなか緊張感があり、面白いです。
<私立側の意見と都の回答>都立中高一貫校の完全一貫校化に対して
適性検査は学力検査と変わらず、都立中学の募集人員が増えることになるので賛成できない
適性検査は学力検査と異なり、教科横断的な内容や作文より自身の考えを表現する問題を出題。
なお新しい学習指導要領を踏まえて、入学者決定の方法や内容等の改善を検討する。
私立の有名校では完全中高一貫校化がほぼ完了していますし、それで結果も出ていますのでできるだけ都立中学の人数は増えて欲しくないところでしょう。
ちなみに小石川など中等教育学校の中学定員は160名、白鴎など併設型の中学定員は120名になります。併設型は5校ありますので、都立中学全体では200名程度定員が増えることになります。
私立の併設型中高一貫校では高校入試の倍率は高い。都立でも高校入学を増やすべき
都内の公立中学生の意識調査の結果、高校募集の人気がないのは明白。
東京は選択肢となる高校が数多くある中で選ばれていない。
意識調査でもわざわざ併設型ではなく同レベルの高校に流れていました。
できれば同じスタートラインから始めたいという意識が高いことが判ります。
また高校入試の倍率がそれほど高いのであれば、なぜ私立は...
白鴎高校・両国高校の昨年の実質倍率は上がっている、拙速ではないか。
併設型高校の倍率は平均で0.97倍、普通科平均の1.35倍を大きく下回る。
まあ、これは数値を絶対値で見るか変化で見るかでの違いでしょう。
ただ定員割れの状態は如何なものかと。
東京が完全中高一貫校にしてしまえば、他道府県への影響が大きい。
東京の完全中高一貫化は、都立の現状を踏まえて実施する。
他の道府県はそれぞれの状況に応じて適切に判断するのではないか。
これは都の回答が「そんなの知るか」で終わっています。
公立中学生の進路を減らし、都民のニーズにそぐわない。
都内には国公私立、たくさん高校がある上に新設する都立高校もある。
併設型高校の倍率が低い一方、中学の倍率が高いことから、完全中高一貫化は都民ニーズに合致する。
うーん、個人的には私立側の意見がきれいすぎて(建前すぎて)あまり入ってこないんですよね。
簡単に完全中高一貫化は、長期にわたり経営が安定するだけでなく、合格実績も出やすくなるため「民業圧迫だー!!」の方がわかりやすいのに...
反対意見の論拠を「都民のニーズ」や「選択肢の減少」を前に出したことで、都から「ニーズの無さ」や「選択肢の多様さ」の報告書や倍率を出されると、うーん。
まあ、なんだかんだいっても「調査や検討会という手順を踏んだ方が強いな」っと思います。
原文や計画自体はコチラからどうぞ
「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」の策定について
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/press_release/2019/files/release20190214_01/3.pdf