都立中学に向く子・向かない子
都立中学・都立中高一貫校に「向く子・向かない子」なんて分け方ができると思いますか?
公立ですから「勉強が比較的できる子が多いだけで校風がない」「公立の中学校とほとんど同じ」と思っていませんでしょうか。
でも、実際に都立中学の各校に行ってみると、都立中学の生徒の特徴や各校の生徒の特徴がおぼろげながら見えてきます。
それは全体の印象として、テキパキしていて、世話好きで、斜に構える生徒が少ないことに、気がづくと思います。
思春期の中学生が斜に構えることは、男女問わず珍しくないと思います。
では、なんで都立中高一貫校では少なく思えるのでしょうか?
その理由は、都立中高一貫校の育てる生徒像が「リーダーの育成」だからです。都立中高一貫校の適性検査や授業・校外学習など、あらゆる活動の目的になっています。
「将来のリーダーとなり得る人材の育成」
具体的には、日常の授業をはじめとする教育活動のあらゆる場面を捉え、生徒が自ら考え、他者と議論し、まとめ、発表する機会を設定することで、生徒の思考力・判断力・表現力等の伸長のみならず、主体性や協調性、リーダーシップ等の育成を図る。
(東京都教育委員会HPより)
クラスの行事に進んで参加する子どもは、機会を捕らえて伸びていくチャンスが多い環境です。
しかし、勉強はできるけど、議論や発表が嫌いだったり、協調性が弱い(周囲に興味がない)子どもには楽しくない環境かもしれません。
その志向は、適性検査や報告書を利用する都立中高一貫校の受検内容にも現れています。
検査を通じて図る適性について
都立中高一貫校の入学者決定には「特別枠」「帰国及び在京外国人枠」「一般枠」の3種類があります。ここでは一番入学者が多い一般枠について取り上げます。
(特別枠などは下の記事を参照してください)
一般枠は、都立中高一貫教育校の全校で、小学校における学習の積み重ねや学習意欲・態度などの成果を記載した報告書と、適性検査により入学者を決定しています。
東京都の方針
都立中高一貫校の入学者決定は、教育理念や育てたい生徒像に照らして、学習活動への適応能力、学ぶ意欲や6年間の一貫教育に対する適性を判定します。
ただ、法律により学力検査を行わないこと、受検者が小学生であることを踏まえて、能力を一面的、表面的に捉えることなく、人の考えをよく聞いて自分の考え方をまとめ、発表したり、社会的な事象にも目を向けたりすることのできるような資質を見いだすため、各校において工夫した検査を実施します。
適性を的確にみるために、小学校からの報告書、適性検査、作文を各校において適切に組み合わせて実施しています。
適性検査
適性検査は、都立中高一貫教育校に共通したねらいや各校の特色等に照らして、学習活動への適応能力、学ぶ意欲や適性等をみるものです。
具体的には、自分自身で問題を発見し、筋道を立てて考えようとする態度や能力などに着目する検査です。
小学校で学習する内容や身近な生活に関する内容を取り上げ、教科知識の量ではなく、小学校で学習して得た教科横断的な力や課題発見・解決的な力をみるような問題を出題します。
適性検査には、適性検査Ⅰ~Ⅲの3種類があり、適性検査Ⅰ及びⅡは全校で実施し、適性検査Ⅲは各校の裁量で必要に応じて実施しています。
適性検査Ⅰ:与えられた文章をもとに、的確でまとまりのある文章を書く力をみる。
適性検査Ⅱ:与えられた資料をもとに、課題を発見し解決する力をみる。
適性検査Ⅲ:各校の特色に応じ、各校が独自に問題を作成し実施する。
適性検査Ⅰ及びⅡは原則として共同作成問題。
全4問のうち1問又は2問を各校で独自問題に差し替え(適性検査Ⅲを実施する場合には、適性検査Ⅰ及びⅡの差し替えは1問以内)
下の表は各校の差し替え状況をまとめた表です
適性検査問題の作成方法
共同作成問題は都立中高一貫教育校全校による共同作成委員会、独自問題は各校の作成委員会において作成しています。
適性検査問題の内容は、小学校学習指導要領や小学生の学習実態を踏まえたものであり、小学校段階から受験準備に偏するような一部の風潮を助長しないように、日頃の学習を通して取り組めるような内容となっているか、共同作成委員会及び各校の作成委員会において慎重な確認を行い、適正を期しています。
東京都教育委員会・学校側が留意している点
各校が教育理念や育てたい生徒像等を明確に定め示すとともに、毎年度の入学者決定における検査の実施に当たって、学校活動への適応能力、学ぶ意欲や適性等を的確に判定できる方法や内容を検討し、実施していくことが重要と考えています。
また、入学者決定については、受検者が小学生であることや小学校の学校運営への影響について、慎重な配慮を求めています。
特に、検査内容については、日頃の学習を通して取り組めるような内容となっているか、毎年度の問題作成等に当たり継続的に検証を行うとともに慎重な確認を行うことが求められます。
報告書
報告書は、小学校の先生が、5年・6年次の学習の記録(成績)と特記事項を書いた書類です。
学校によってばらつきはありますが、入学者決定に際して20%~30%の点数に換算されます。(70%~80%が適性検査)
ということは、いくら勉強ができていても、授業に非協力的な生徒は平常点で成績が落とされてしまうので、小学校の学習にきちんと参加している生徒に比べ、マイナスを背負った形で適性検査を受けます。
詳しくは下の記事を読んでいただきたいのですが、3段階の成績(評点)で一番下を取るとかなりのマイナスを背負うことになります。
私立第一志望の生徒に見られがちなのが、受援勉強で成績の良い子の一部には、学校の勉強をバカにして騒いだり、先生の話を聞かない子も見受けられます。
そのような生徒は2月3日は国立や私立を受験する方が安心かもしれません。
<都立中高一貫校>報告書の特徴・内容と対策(1)
https://toritsu-chugaku.com/houkokusyo/
<都立中高一貫校>報告書の特徴・内容と対策(2)各校の特徴
https://toritsu-chugaku.com/houkokusyo2/
<先生向け>都立中高一貫校の受検(受験)用 報告書の書き方
https://toritsu-chugaku.com/houkokusyo_kakikata/