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都立中高一貫校の受検・適性検査とは
都立(公立)の中等教育学校・高校付属中学校、いわゆる都立中高一貫校では入学者の決定に際して、受験ではなく受検(どちらも読みは”じゅけん”)が行われます。
受検が使われる理由は、
公立の学校では入学者の選抜手段として、法律により試験を受けること(=受験)を実施することは許されておらず、
都立中高一貫校に適している生徒か、検査を受ける(=受検)ことにより、入学者を決定しています。
そして、都立中高一貫校に適した生徒かを確認する検査を適性検査としています
適性検査と小学校5・6年次の成績を報告書として点数化して、適性検査と報告書を合わせたものが総合成績となります。
適性検査と報告書の配点は各校で異なります
都立中高一貫校の適性検査と報告書の配分は以下のようになります
桜修館中等教育学校は比較的、報告書重視(30%)
反対に、富士高校付属中学校は、適性検査重視(82%)
小石川中等教育学校と武蔵高校付属中学校は適性検査が75%
そのほかの、両国高校付属中学校などの学校が適性検査80%
大まかには報告書の割合は20%弱から30%と覚えておくといいでしょう
ともあれ適性検査は国立・私立中学の受験で出題される問題と傾向が異なります
ここでは適性検査の特徴・内容と対策について整理・紹介します
受検の制度や報告書についてはこちらで詳細をまとめてあります
https://toritsu-chugaku.com/jyuken/
適性検査の特徴
適性検査の目的
適性検査は生徒が、その公立中高一貫校に適した生徒かを確認する検査です
適性があるか確認するための検査という位置づけから、3つの特徴を適性検査は持っています
1. 出題範囲は小学校の教育課程を逸脱しない
公立学校の入学者を決定する検査なので、国立・私立中学の入学試験のような
小学校で習わない事項は出題されません
2. 教科を横断した問題が多い
小学校の教育課程の範囲だからといって単純な問題はほとんどありません
本文・資料やグラフなどを読み解きつつ、いくつかの教科の知識を組み合わせ
ないと回答できない問題が多々あります
3. 記述・作文問題が多い
国立・私立中学の入学試験とは異なり、適性を確認するために、
物の見方や体験から得たものを評価します。そのため作文問題が出題されます
適性検査の形式
適性検査は適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱ、適性検査Ⅲの3種類からなっています
このうち、学校により適性検査Ⅰ・適性検査Ⅱだけの利用と、適性検査Ⅰ・適性検査Ⅱ・適性検査Ⅲまで利用する学校に分かれます
基本的に適性検査Ⅰ・Ⅱは共同作成問題になりますが、一部独自問題にすることができます
適性検査Ⅲは各校の独自作成問題になります
適性検査Ⅰ・適性検査Ⅱ 利用校
桜修館中等教育学校、南多摩中等教育学校、立川国際中等教育学校
三鷹中等教育学校
適性検査Ⅰ・適性検査Ⅱ・適性検査Ⅲ 利用校
小石川中等教育学校、両国高校付属中学校、武蔵高校付属中学校
大泉高校付属中学校、富士高校付属中学校、白鷗高校付属中学校(今年度から)
適性検査の内容と対策
適性検査Ⅰ(45分) の内容と対策
<内容>国語系・作文の問題1
問題文としては、論説文や随筆などが出されます。
内容を読解、要約して自分の考えをまとめることが求められます。必ず、問題文の内容を基に自分の意見や考えを(自分の体験などに基づいて)まとめる問題が出題されます。
<求められる能力>
文章の内容・意図を的確に読みこなす読解力と自分の考えを論理的に表現する力が求められます
<対策>
・読書:本をたくさん読んで作者の意図を的確に掴むこと
・作文:時間内に自分の意見を文章にまとめる練習をすること
参考記事
<大手進学塾 通塾者向け>都立中高一貫校の受検(受験)対策について<作文対策>
https://toritsu-chugaku.com/shingakujyuku_taisaku/
適性検査Ⅱ(45分)の内容と対策
<内容>算数・理科・社会の複合問題
社会であれば資料やグラフ、歴史の年表、算数であれば図形や規則を読み解くことが必要ですが、私立中学入試のような特殊算は出題されません
理科系の問題でしたら実験とそこから読み取れることがよく出題されます
ただし、どの問題も手順がかかったり、1教科の知識だけでは解けないようになっています
<求められる能力>
資料から情報を読み取り、課題に対して思考・判断する力、複雑な問題を論理的に処理する力などが求められます
<対策>
・時事問題や社会問題がベースになる問題が出題されることがありますので、日頃から
ニュースや新聞を読んだりして、基礎的な素養をつけておくとよいでしょう
・データや資料を読み解く力やそこから自分の意見を表現できる力を磨く
適性検査Ⅲ(45分)の内容と対策
<内容>独自問題ですが、多くは理数系、特に算数の問題を出題します
立体など図形問題と規則性の問題はきちんと押さえておきましょう
<求められる能力>
身近な事象を通して、分析力や思考力、判断力などを生かして、課題を総合的に解決できる力を求められます
<対策>
・算数の問題集や過去問など類似の問題、難度の高めな算数パズルをこなすことで、条件を把握・整理する力を養うと良いでしょう